「雑誌も、挟んでおいた写真も見たでしょ? それが本当の私」
 あなたがその雑誌を見つけなかったら、もし見つけても、
 特に興味を示さなかったら、諦めようと思ってたわ」

ぼくの目を見つめ、美穂は細く震える声で話し始めた。

「キッチンから、ちらっと覗いたら夢中で何かを読んでて、
 床に積まれた本の種類と量をざっと見たら、
 読んでるのは、奥に隠したあの雑誌に間違いないって思った」

こんな場面で、これだけ論理的にしゃべるなんて、
国大生って頭いいんだと、半ばフリーズした頭でぼくは考える。

「あなたには、女を惹きつける特別な何かがある。
 バイト先で初めて見た時から、抱いて欲しいと思ったわ。
 ううん、それだけじゃなくて、私のご主人様に……」

股間を隠していた手が、ゆっくりと左右に分かれてゆく。

「こんな風に誘う女は嫌い?
 自分でも、どうしてこうなっちゃうのかわからないの」

股の両脇に置かれた両手の指が、陰唇を外へと引っ張り始める。

「あなたに抱いてほしいの……お願いよ」
掠れたその声に、ぼくの頭の中は真っ白になった。